体験学習プログラムのコーディネート
地域をほどき、じぶんを編みなおす学びの場
01 はじめに
教室の外の若者の学びの現場としての地域
龍谷大学ボランティア・NPO活動センターが主催する「国内体験学習プログラムin高島」。ぼくみんは、この2泊3日のフィールドプログラムにおいて、事前・事後学習の設計から、当日の地域コーディネート、体験学習の伴走までを総合的に担いました。学年・学部の異なる15名の学生が参加し、プログラム終了後に再び高島を訪れる学生も生まれるなど、高い満足度と持続的な関わりが育まれています。

02 実施概要
地域をほどき、関係を編みなおす「3日間」
地域の現状や課題を「わかりやすく説明する」のではなく、喜び、何気なさ、ままならなさ、矛盾や揺らぎといった、「地域の生きた姿」に学生が触れることを重視しました。
1日目|新旭エリア
- TAKASHIMA BASEでのオリエンテーション
- 針江の水辺散策と川島酒造の見学
- 地域学校協働活動の現場との出会い
- 高島在住の龍谷大OBとの対話


2日目|畑・椋川エリア
- 棚田の保全ボランティア
- 手仕事の体験
- 高島の若者との交流


3日目|今津エリア
- まちあるき
- ヴォーリズ建築の保存活動の学習
- 福祉と地域の接点に触れる体験学習


公共交通のみを使い、「移動」そのものが地域のリアルに触れる行為になるようにデザインしました。
03 生まれた成果
学びの満足度94.7%、その後の関わりへと続く体験に
学生からは、以下のような声が寄せられました。
- 地域の「良い面」と「難しい面」の両方に触れられ、地域課題が単純でないことに気づいた
- 地元と移住者、若者と高齢者の多様な視点から地域の今を感じられた
- 地域活性化の「正解」よりも、人のつながりや思いが学びの起点だと実感した
- 自分の地元を見直すきっかけになった
- 新しい興味関心が芽生え、今後の進路のヒントになった
満足度は94.7%。学びが「知識の習得」にとどまらず、学生の内面に変化をもたらすプログラムとなりました。

04 ぼくみんの役割とこれから
地域と学生のあいだに立つ
今回の体験学習プログラムで、ぼくみんが担ったのは、単なる企画や当日運営ではありません。大学と地域、若者と高島の暮らし、それぞれの声や思いを汲み取りながら、「どのように出会えば、互いの学びが深まるのか」を丁寧に整えていくこと。それがわたしたちの中心的な役割でした。
学生にとっては、地域を「理解する対象」として説明されるのではなく、喜びや矛盾、ままならなさを含んだ高島の「生きた日常」に触れることが、価値観を揺らし、自分自身を編みなおすきっかけになります。
一方で、地域の人びとにとっても、学生が向けるまっすぐなまなざしは、自分たちの暮らしを照らしなおす機会となります。ぼくみんは、その双方向の変化が自然に生まれるよう、出会いの順番、言葉の扱い方、現場への入り方など、細部にわたって関係の設計を行いました。

プログラムは、イベントでも研修でもなく、学生が「自分」と「社会」のあいだにある糸を結び直すための学びの原体験です。ぼくみんはその出発点をつくるために、3日間の旅程だけでなく、事前・事後の学習も含めて、全体をつないできました。
これからもぼくみんは、高島をはじめとする地域で、大学や教育機関、若者と協働しながら、「地域に触れ、じぶんを見直し、未来を描く」場と機会を育てていきます。それは、地域の力を引き出し、同時に若者の生き方・働き方の可能性を広げていく取り組みです。
地域と若者のあいだで静かに生まれる、確かな出会い。その芽を大切に育てていくことが、ぼくみんのこれからの実践です。






