1000とKYOと
京都で暮らす・働くを、若者の「リアルな選択肢」に?!
01 はじめに
若者のまち・大学のまち、京都。けれど、定着率は20%以下
京都は「学生時代を過ごしたいまち」として全国から人が集まります。しかし、京都の大学を卒業した学生の多くは、就職のタイミングで大阪・東京へと移っていきます。定着率は20%未満。
その一方で、京都には、社会的課題に取り組む企業や、文化と経済を両立させ、伝統と革新を繰り返しながら新しい価値をつくり出している企業が数多くあります。京都市が2015年から認定している「これからの1000年を紡ぐ企業(通称:1000年企業)」は、その象徴です。
こうした企業群と若者が出会い、対話し、これからの働き方をともにつくっていくために、京都市産業観光局、株式会社おいかぜ、株式会社よい根と協働し、「1000とKYOと」を立ち上げました。
ぼくみんは、若者の視点と感覚を活かし、このプロジェクトのイニシアチブを担っています。

02 プロジェクトの特徴
就職支援でもマッチングでもない、若者と地域企業が「出会う」場
1000とKYOとは、京都の社会的企業と若者が出会い、対話し、協働しながら、これからの働き方・生き方を探索するコミュニティ・プロジェクトです。
重要なのは、「企業に若者を誘導すること」ではなく、「若者が自らの価値観に気づき、企業が自分たちの魅力を再発見すること」。若者と企業のそれぞれにとって、価値ある場をつくることを大切にしています。
「京都で働く」という選択肢は、単なるキャリア選択ではなく、そこにある文化・人・暮らしと接続しながら、自分のこれからを描く営みです。そのプロセスを社会に根づかせていくため、単発のイベントではなく、ゆるやかなコミュニティとして育てていこうとしています。

03 これまでの取り組み
若者と企業がまざり合う「未来の公共圏」をつくる
1)ぼくたちのこれからを語ろう(2023年度)
10〜20代を対象とした「はじまりの場」。迷いや希望を持ち寄りながら、世代を越えて、働くことや生きることを語る対話会。


2)100人1000年 京都はたらく会議(2023年度)
企業、若者、市職員、研究者など100名以上が集まり、「能力主義の行き詰まり」をテーマに、これからの働き方を語り合う大規模対話型イベント。


3)未来のシニセを編集する(2024年度)
トークイベントと企業訪問を組み合わせた実践型プログラム。若者が企業の魅力を「編集」し、企業は自らの未来を言語化する機会に。


4)MEET 1000とKYOと(2025年度)
プロジェクト3年目。コミュニティとしての深まりが見えはじめ、若者と企業との関係がより継続的に育つ段階へ。自主企画として、企業が若者の本音を聞く「なんか、ちゃうねん酒場」も展開。


04 生まれた成果
京都を「離れる理由」より「とどまる理由」が増えていく
若者の声
- 「京都で働くことのイメージがポジティブに変わった」
- 「なりたい姿は、京都でも実現できると気づいた」
- 「文化と経済の両方が成り立つ都市だと理解できた」
企業の声
- 「若者に自社の魅力を伝える貴重な機会だった」
- 「学生の新しい視点から学びが多かった」
- 「大学生採用にも挑戦してみたい」
- 「職員同士の対話が深まり、内部理解が進んだ」
大学生スタッフが1000年企業に就職するケースも生まれ、「京都で働く」という選択肢の地図そのものが広がりはじめています。

05 これからの展望
若者・企業・まちのあいだに立ち、関係の芽をゆるやかに育てていく
ぼくみんが担っているのは、企画や運営だけではありません。若者と企業が「自分ごと」として出会える関係の場をつくること。対話の設計、場の空気づくり、声の引き出し方、企業との関係づくり-その一つひとつを丁寧に積み重ねてきました。
「1000とKYOと」が、市の委託事業で終わらず、ゆるやかに持続するコミュニティへ育っていくよう、立ち上げから「自走」を見据えて取り組んできました。これからも京都で、若者、企業、福祉、文化がまざり合い、新しい公共圏が立ち上がっていくよう、関係者のみなさんとともに、取り組みを育てていきます。






